メールに関するトラブルが後を絶たない理由
コンパスにはメール関連のトラブルのご相談が日々寄せられていますが、それらの内容について最近の傾向を概観すると、「有名企業を名乗るなりすましメールが頻繁に届く」「急にGmail宛のメールだけ送れなくなった」「自分のアドレスを騙って大量のメールが送信されている」など、外的要因によるものが目立ちます。これらのトラブルの多くは、メールのシステムやネットワークに対して誰かが何らかの操作を行うことで発生しています。悪意のある攻撃者によるスパム行為はわかり易い一例ですが、メールサービスの提供元が行ったセキュリティー強化などの仕様変更が一因となる場合もあります。
メールに関するトラブルが多発する理由としては、元々のメールの仕組みが脆弱であったことが挙げられます。1970年代の開発当初、メールは研究者や技術者などが限られた環境で使用するためのツールとして捉えられていて、セキュリティーやプライバシーに関する規格は殆ど実装されていませんでした。このような脆弱性を抱えたままで、インターネットの発展と共に広く一般に普及してしまったのです。メールの黎明期から今日に至るまで、トラブルに見舞われる度に対処方法が開発されてはいますが、完全な脆弱性解消には至っていないという状態が続いています。
こうしたメールの仕様を踏まえた上で、「メールにトラブルはつきもの」と割り切って継続利用するか、メッセージ送受信アプリなどの代替ツールに乗り換えるか、検討が必要になる日は案外近いのかも知れません。